【相続のキホン】相続手続きが楽になる制度#6

戸籍の束が1枚の証明書に。

司法書士の小出亮です。

今回は、相続手続きにおいて非常に便利な「法定相続情報証明制度」について、お話ししていきます。

法定相続情報証明制度とは?

法定相続情報証明制度は、相続手続きで必要になる戸籍謄本等の書類を一体化すること=法務局へ法定相続人に関する情報を一覧図にした「法定相続情報一覧図」の保管を申し出ることにより、無料で法務局の証明がある法定相続情報一覧図の写し(法定相続情報証明)の交付を受けることができる制度です。

この制度を利用することで、従来の相続手続きのご負担を減らし、スムーズに手続きを行うことができます。

これまでは・・

これまで「不動産」「預貯金」「年金」「保険金」「有価証券」「自動車」「相続税申告」などの相続手続きをする際は、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等、相続を証明する書類一式(戸籍の束)を提出する必要がありました。

これらの戸籍の束は、法務局・銀行・証券会社など様々なところで必要になるため

・いくつも書類を用意するのは大変・・・

・必要書類を提出先の数だけ用意するのもお金も時間もかかってしまう・・・

など、相続手続きが物理的にスムーズに進まない場面がありました。

現在は・・

この法定相続情報一覧図の写しは、戸籍の束の代わりに様々な相続手続きにご利用いただくことができるため、複数の提出先に戸籍の束を何度も出す必要がなり、相続手続きがスムーズを行うことができるようになりました。

ポイント

様々な相続手続きが同時に進められる

相続手続きをしなければならない財産が複数ある場合には、手続きが同時に進められるので、相続手続きの時間短縮につながります。

便利な場面

■複数の相続手続きを同時並行で行いたい場合

■相続手続きをすべき財産の種類が多い場合

■相続人が多数で戸籍謄本等が多い場合

特に預金口座が複数の金融機関にある場合は、非常に便利です。


証明書の取り方は?

法定相続情報証明の交付を受けるための手順について、詳しく解説します。

ステップ1 申し出のための添付書類を収集

市役所などで被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本と住民票(除票)、相続人の戸籍謄本、住民票などの法定相続情報一覧図の保管の申し出のための添付書面を収集する。

ステップ2 法定相続情報一覧図と申出書を作成


申出書には

  • 申出人の住所・氏名・連絡先・被相続人との続柄
  • 利用目的
  • 交付を求める通数(何通でも無料)
  • 申し出の年月日

    などを記載します。

ステップ3 法務局に申し出を行う

申し出を行う法務局は、下記のいずれかの法務局となります。

・被相続人の本籍地又は最後の住所地

・申出人の住所地

・被相続人名義の不動産の所在地

申し出する法務局が決まったら

☑ 申出書

☑ 法定相続情報一覧図

☑ 添付書面一式

を提出します。

ステップ4 (法務局)確認・交付

法務局にて、これらの提出された書面を確認して間違いがなければ法定相続情報証明を交付されます。

なお、申し出の際に添付した戸籍謄本等の書面は返却されます。

ステップ5 利用

法定相続情報一覧図は、戸籍の束の代わりに各種相談手続きにおいて利用することが可能です。

まとめ

相談手続きがスムーズに進められる「法定相続情報証明制度」についてお話ししました。

この制度は、非常に便利ではありますが、準備・作成する書類の多さや法務局で手続きが必要になる等お手続きが面倒な部分もあります。

司法書士は、必要書類の収集から書類作成、申請手続きまで一括してお手伝いが可能です。お手続きを考えている方は、是非お気軽に弊所へご相談ください。