【相続のキホン】遺産分割協議について #5

遺産分割協議の進め方は?

司法書士の小出亮です。

《相続のキホン》をテーマに、今回は「遺産分割協議」についてお話ししていきます。

遺産分割協議とは?

遺産分割協議とは、相続人全員で、遺産をどのように取得・分割するかを話し合うことを言います。相続人全員の合意が得られることで、遺産分割協議が正式に成立します。

その話し合った結果を書面にしたものが遺産分割協議書となります。

遺産分割協議の進め方

次に、遺産分割協議の進め方とポイントについて詳しく解説します。

遺産分割協議を進めるための主なステップ

⑴ 相続人の確定(戸籍収集)

  法定相続人を正確に確定します。

⑵ 遺産の把握・整理

不動産、預貯金、有価証券など全ての遺産をリストアップします。

⑶ 協議の実施
相続人全員が納得するまで話し合いを重ね、合意を目指します。

⑷ 遺産分割協議書の作成

合意内容を文書化し、相続人全員で署名・押印を行います。

ポイント

相続人全員の合意が必須

相続人全員の同意がなければ、遺産分割協議は成立しません。

相続人同士で意見が対立するなどして遺産分割協議が進まない場合、相続手続きが大幅に遅れることがあります。


以下で、遺産分割協議が進まない主なケース・対応策について解説します。

遺産分割協議が進まない主なケースとその対応策について

ケース1:相続人間で意見が対立している


対応策

  • 第三者の仲裁:
    専門家等に仲裁を依頼し、公平な意見を聞くことで、相続人同士の合意を得やすくします。
  • 家庭裁判所の調停又は審判

    相続人の間で合意ができない場合には、家庭裁判所の遺産分割の調停又は審判の手続を利用することができます。

ケース2:相続人の所在が不明(連絡が取れない相続人がいる)


対応策

  • 所在不明の相続人を調査
    戸籍の附票や住民票を調査し、当該相続人の所在を確認します。
  • 家庭裁判所への失踪宣告申立て
    相続人が生死不明の場合など状況によっては、家庭裁判所に失踪宣告を申し立てることで、その人が死亡したとみなされ、相続手続きを進めることができます。

ケース3:相続人が認知症などで意思能力がない


対応策

  • 成年後見制度の利用:
    家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立て、後見人が認知症の相続人に代わって遺産分割協議に参加します。

まとめ

遺産分割協議の進め方と遺産分割協議が進まない主なケースとその対応策について解説しました。

もっとも、遺産分割協議が進まない主なケースが現時点で想定される場合には、遺言を作成する等の事前準備をしておくことで、ご家族の負担を軽減することができます。

将来の相続にご不安がある方は、一度ご家族で話し合いの場を設けたり、早めに専門家に相談することで、この先のご自身とご家族の安心につながります。

弊所では、相続や遺言などに関するご相談を受け付けておりますので、是非お気軽にお問い合わせください。